20140602

讀賣會舘の三世代同居送水口を巡る

讀賣會舘。
どこのことかと思うかもしれませんが、有楽町のビックカメラが入っているビルのことです。


ここはかつてそごうデパートが入っていたことで有名です。硝子窓だらけの外壁。よく見れば不思議な外観です。
家族いわく、横浜市庁舎や日生劇場など数々の素晴らしい作品を遺した建築家、村野藤吾氏によるものとか。うむー、なるほど・・。

この讀賣會舘、1957年のものです。昭和32年。
期待が持てます。
では行ってみましょう。


先ずは入口付近。
さっそく見えます。

サイアミーズコネクション表示の送水口。左奥には防火栓もあります。



先ずは送水口から。
しっかり磨かれています。
小さめの半球から接続口が出ています。
そして斜めに入った捻子取り付け口。
分厚い蓋は赤く塗装されています。琺瑯仕上げというのだそうです。
水流にMのロゴマークで知られる村上製作所の特徴がこれでもかこれでもか、と見られる逸品です。綺麗です。


当時の赤がここまでそのまま残っているものもあまりないのではないでしょうか。
鎖の末端部分のデザインもいいです。下半分が少し浮いているのは蓋を傷つけないようにという配慮かと思っていますがどうでしょうか。


そしてこの緩やかな美しい曲線を描く絶妙な長さの鎖。そし鎖留を兼ねるロゴマーク。溜息が出ます。

 耐圧試験に合格しているようです。よかった!!











 次は奥の防火栓です。

控えめな逆瓢箪飾り板から突き出る、開閉弁と接続口の縦列防火栓。
こちらも蓋の塗装がしっかり残っています。百貨店でなくなってもきちんと手入れが引き継がれているのでしょうか。さすがビックカメラ。先日私のカメラも修理して頂きました。本当にすごいです。


真横から見てみましょう。接続口が緩やかに上向きのカーブを描き、使いやすくなっています。この防火栓によく見られる角型の爪も本体を傷つけたり操作のときに邪魔になったりしません。


防火栓と送水口の中央下にあった水栓。送水口の水抜でしょうか?径が小さいようですが。単に散水栓なのか。だとしてもほとんど使われていないようです。








実はこれだけではないのです。

少し離れた側面にまた一組。 


防火栓は先ほどの物と同型のようです。

今度は上からの画像を。


送水口のものよりも一回り小さいようですが、ロゴマークもついています。



送水口のみ先ほどと異なります。


真鍮色で美しいですが、形は明らかに新しいものです。


上から見たところ。

恐らく下↓の送水口と同型でしょう。よく見る型(下の写真は東銀座)ですが、この色は珍しい気がします。


横から。




更に他の側面に移動しました。
この壁面を塞いでしまっていたトラック(普通に仕事していただけですが)がいなくなるのをじっと待ち、やっと撮影できた物件です。


真ん中の露出Y型送水口に寄ってみました。更に新しいものです。

鮮明で違う角度からも撮影したのですが、あまりにも磨きこまれてどうしても自分が無駄にはっきり写りこんでしまうので今回は遠慮させていただきました。
それはともかく、飾り板の後ろに更にプレート、と至れり尽くせりの送水口です。
防火栓はこちらも同じ。
とすると、こっちにも最初の麗しい送水口がついていたということでしょう。いえこちらも非常に美しいのですが。


ここにはさらにスプリンクラー設備のための送水口も付いていました。ステンレスプレートに真鍮接続口、蓋がまたステンレス、と複雑な一品。


一番初めに紹介した送水口は建設時のもので恐らく昭和32年。
真ん中のものは次に古く、最後のものは最新型かと。


三世代の露出Yが一度に楽しめる讀賣會舘。
ビルを一回りするだけで歴史の移り変わりが楽しめます。
ぜひぜひ。


追記:この写真を撮影したのは昨年でしたが、既に一番上の送水口は黒ずんでいるという情報を得ました。あっと言う間です・・・毎日磨かないとだめだということなのですね・・・・

2 件のコメント:

  1. 送水口に塗られる赤色塗料に、「退色赤」にこだわる(無駄に)小生としてはかなり興味ありです。
    看板に塗られる赤、つまりペンキ類とは明らかに違いそうですな。
    ロウソクの蝋のようなぽってりとした印象を受けますが、
    まさか蝋ではないでしょう。
    そして、蓋とは違った味わい深さがありますな。

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  2. しここさん、さすが(*^_^*)です。琺瑯、つまり「ホーロー」だそうです。
    私も最近初めて知りました。
    ぽってりとはまさにその通りですね。蓋も本体も、手入れを欠かさずにいれば輝きは変わらず、いや増すばかり。人もまたそうありたいものです。

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