20180327

送水口とは Ⅱ送水口の役割 ドレンチャー用送水口編

火災が起きた時、火事を消すのが「消火」。一方、火災が起きていない場所に火事が生じないように対策を行うのが「防火」です。放水口からの水は基本的に「消火」のためですが、「防火」のための水を送る送水口もあります。

以前取り上げたスプリンクラー設備や地下散水設備は消火用でもあり、防火にも役立ちます。

その点「ドレンチャー」はまさに「防火」のための設備です。


ドレンチャーは、小さなヘッドから水を吹き出して空間と空間の間にシャワーによる「水のカーテン」を作る設備です。(写真は古いタイプですが…天井に張り付いている丸い部分の中央から水が出て、花弁状のところにあたって水が周囲に散ります)





それにより、他所で生まれた火事の延焼を食い止めます。従って、壁による防火ができにくい場所、例えば広い駐車場や地下街の区画の間などでよく見られます。
木造の建築物にも設置されることがあります。

写真はさきほど紹介したヘッドが付いている新宿の地下街です。






金沢駅の鼓門にもありました。 









対象の種類によっては上から水を降り注ぐタイプだけてはなく、下から吹き上げるタイプのものもあります。能美防災様のウェブページのイラストがとてもわかりやすいのでリンクしておきます。こちらからどうぞ!

さて、ようやく本題です。
ドレンチャーの水は防火水槽から取りますが、不足しないように外部からも注水することができます。その入口になるのがドレンチャー用送水口です。











先にあげたような用途のため、連結送水管用、スプリンクラー用、連結散水設備用などと
比べて見ることは多くはありませんが、文字で明示してありますので是非探してみて下さい。

20180321

送水口とは Ⅱ送水口の役割 地下連結散水設備用送水口編 その1

Ⅱ送水口の役割  地下連結散水設備用送水口編

スプリンクラーと同じように散水することによって、延焼を食い止めたり、消防士さんを熱から守ったりする「地下連結散水設備」。

こちらの特徴は、
〇送水口がたくさんある

〇区域図が添えてある




ということです。


これらは或る建築物の送水口とその区域図です。
なんと送水口が横にずら~っと8個も並んでいます。一番右のものは、既に説明した連結送水管送水口ですから放水口に繋がっています。

さて、1~7番の送水口はこの区域図にある同じ番号の場所に対応しています。例えば、1番の送水口に水を送れば、男子更衣室の配管に設置されているヘッドから水が出るということになります。

これは、スプリンクラーのように通常閉まっているヘッドが温度感知によって割れ、全てのエリアに水が降り注いだ場合、火災の被害をこうむっていない場所にまで水損が発生してしまうからです。特に倉庫に商品がある場合などは大変なことになるでしょう。ですから、地下連結散水設備は基本的に散水対象を選び、手動で散水できるようになっています。(ヘッドはいつも開いている)
多くの散水設備は送水口からの水を得て初めて機能するということです。

では、逆に区域図の白い部分はどうするのか。
例えば図の上部にある「ドライエリア」。これは、地下ではあっても、その周囲が掘り下げられて外と繋がっている部分のことです。そこは外部からの放水が可能な場合、または延焼しにくいと考えられる場合などは設置しなくても叱られません。
他にも、トイレや浴室といった火災が発生しにくい場所、電気室やボイラー室、ポンプ室など特別な防火対策がなされている場所などにも設置義務がありません。
もちろんこれらには、それぞれの条例や規則で設置免除のための細かな規定が定められています。
地下階に必要があって行く場合には天井を見ながら歩いてみるのも楽しいかもしれませんね。

地下連結散水設備用送水口の愉しみは、やはりたくさんある!!ということに尽きます。
番号が送水口のどこにふってあるのか。色分けしている場合は何色で、どのようなシールが使われているのか。いったいいくつまであるのか!
などということもわくわくするポイントです。

こちらは小倉市役所。区域図が親切です。


こちらは函館市役所。10番まであります。区域図もステンレス。豪華な感じです。




送水口とは Ⅲ送水口を設置する対象となる建築物 その1

Ⅲ送水口を設置する対象となる建築物 その1


今回は、どういった建築物に連結送水管送水口が必要なのかということを見ていきます。
では、町歩きで送水口を探す場合用に、ざっくりと。

〇地上7階以上
〇とても広い建物ならば5階以上(延床面積6000㎡以上)
〇地下街(延床面積1000㎡以上)
〇アーケード(延長50m以上)
〇道路が建物内にある場合(駐車場など)

これらは消防法施行令で定められているものです。
確かにここには消防車からの放水は届きにくい、という場所ばかりです。

これを知っておくと、旅に行く前からストリートビューなどでおおよそどのあたりに送水口が集まっているか、あるいはあまりなさそうか…などということが分かるので便利ですね。

20180320

送水口とは Ⅱ送水口の役割 スプリンクラー送水口編

Ⅱ送水口の役割 スプリンクラー送水口編

前回は「連結送水管」用の送水口の役割でした。
放水口に繋がる送水口のお話をしましたが、実は、他のものに繋がる送水口もあるのです。
今回はいったい何に繋がっているのでしょうか。



















実は、スプリンクラー設備にも送水口が関係しています。
スプリンクラーは、基本的には熱を感じるとヘッドが開いて散水します。
(ヘッドは熱で溶けやすい金属、または熱で膨張・破裂する液体入りの硝子でふさがれています。ヘッドが火災により開放されることで、送水管の中の水が動き、圧力が変わります。それを感知してさらに水を送るためにポンプが作動するのです。)

こうすることで、出火しても燃え広がるのを先手を打って防ぐことができます。
しかし、防火水槽の水は有限です。スプリンクラーの水だけで対処できない場合は消防隊の到着を待って放水口からの水を使って消火することになります。
ではそこでスプリンクラーの役目は終わりかというと、そんなことはないのです。スプリンクラーが作動し続けることによって、炎と煙が充満している部屋の温度を下げ、高温から消防士さんを守ることができます。

ですから、スプリンクラーが継続的にシャワーを出すことができるよう、送水口から水を補給し続ける必要があるのです。

20180319

送水口とは Ⅱ送水口の役割 連結送水管送水口編

Ⅱ送水口の役割 連結送水管送水口編

街を歩いていて、「あっあそこに送水口!」とわかるようになったら、次はその役割です。指を指したそこに、なにゆえ送水口はあるのか。

送水口(連結送水管送水口)は、消防士さんたちが活動するときに必要となる施設の一つです。消防車での放水が、どうがんばっても届かない場所へと水を送り届けるために存在します。


では、消防車からの放水が届かない場所とは一体どのようなところでしょうか。

例えばビルの高層階。…現在活躍している梯子消防車。そのトップクラスの車でさえ、およそ50mが精一杯です。それに、どうにかして窓まで辿り着いても、火元がビルの中央付近であれば消火するのは難しい。
例えば駅地下の商店街。…消防車が入ることはできません。
例えばアーケード商店街の両サイドのビルの壁面。…アーケードの屋根が邪魔をして地面から放水することはとても難しいでしょう。

それらの場所が火災になった時が送水口の出番です。
消防士さんたちは送水口にホースを繋ぎ、ポンプ車から水を送りこみます。水はビルの中を縦に貫く連結送水管を通り、放水口へと届きます。消防士さんは、ホースだけをかついで非常エレベータや非常階段から火元の階(または安全のためその一つ隣の階)へと直行するのです。


20180318

送水口とは Ⅰ送水口の種類 応用編

Ⅰ送水口の種類 応用編
今回は応用編です。

送水口には
「壁に付いている仲間」と「地面から生えている仲間」があると その1 でお話しました。

送水口は、もちろん「製品」です。刻印される文字や取り付けられるプレートはともかく、本体は規格品です。
けれど、設置場所や設置のタイミング、あるいは点検作業の簡素化を目指すことによって基本的な形式とはちょっとずつ異なる様子の送水口が存在するようになります。
今回は、それらを紹介していきます。(既製品との差異が少ない順に)

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①改修・取り替えによる外付け送水口
送水口は、設置後10年が経過したものに対して耐圧性能点検が行われます。(その後3年ごとに実施)
実際に送水口から水を送り、送水口に変形が無いか、配管や本体などに水漏れが無いかを調べるのです。
その検査で要改修となった場合は取り換えることになります。しかし、送水口からの配管は建物内部に設置されているので丸ごと取り替えるには、最悪の場合建物を一部破壊しなければなりません。
それを避けるため、送水口を壁に埋めたり、地面に生やしたりすることなく、建物の外壁に新たな送水口を付けている物件がとても多くあります。







これらは、既製品を上下逆に取り付けたり、配管を露出させた状態で取り付けたりしています。ですから非常に奇異に見えますが その1 で紹介したものと特に異なる送水口ではありません。
ただ、自立型送水口が「ん?なんだか天地が…あれれ、このまま一生逆立ちしてるの??」と思っていたり、壁埋設型送水口が「寒い…早く壁の中に入りたい…」と呟いたりしていないか、などと妄想を広げてしまいます。


②アーケード型送水口
アーケード商店街の天井から吊下げられているのがこの送水口です。
吊下げられてはいますが、使われている本体は、自立型と似ています。



一般的な自立型(縦双口)と比べて多少接続口の間隔が長いものが多いです。
理由はよくわかりませんが、まだ縦双口自立型が生まれる前に「できるだけ通行の邪魔にならないように」との考えで縦に並べた結果、このようになったのではないかと思われます。
また、それぞれの接続口が回転するようになっていたり、配管自体が一回り太いカバーで覆われていたりする場合もよく見かけます。後者は、アーケードの雰囲気に合わせたデザインにするためでしょう。

稀に、露出Y型送水口や壁埋設に用いられる送水口が付いている場合もあります。
不思議なことに、こちらの方はもう「通行の邪魔にならないように」ということを諦めてしまったためか、既製品をそのまま使っているものが多いように感じます。







③箱入り送水口
他の章で詳しく説明しますが、送水口本体にはその後方に「止水弁」「逆止弁」などが付いています。通常これらは壁の内側や地面に設置されます。
が、なんと、「蓋を開けたらすぐ見える!」というように一体化してしまったのがこちらです。
箱入りといえば「北浦製作所様」というのが(私の中で)定番だったのですが、立売堀様のものも見かけるようになってまいりました。 






20180317

送水口とは Ⅰ送水口の種類 基礎編


送水口について、自分でもちゃんとわかっていないところがたくさんあるので、まとめてみようと思いました。

Ⅰ 送水口の種類 基礎編

先ずは、送水口の「見た目」です。街を歩いていて、見てわかることがスタートですものね。

先ずはビルの壁に付いているタイプ。
こちらです。
①-1 壁埋設送水口 かべまいせつ そうすいこう

長方形の板にまあるい接続口があります。それに蓋がしてあります。




①-2 露出Y型送水口 ろしゅつ わいがた そうすいこう
壁に付いている仲間です。
日本の送水口はもともとアメリカから輸入したものが始まりと思われますが、その原型がこちらです。
ということは、もともと「送水口と言えばコレ」であり、特に形の名前は付いていなかったのかもしれませんが、①-1のタイプが出てきてこちらを「露出」と呼ぶようになったのかと考えています。
では何が埋設で何が露出かと言うと、それは「本体部分」です。
これはまた後ほど記事に致します。



次は、地面から生えているタイプの送水口です。

②自立型送水口 じりつがた そうすいこう 
スタンド型と呼ぶこともあるようです。
地面から配管がにゅっと出ていて、そこに接続口が付いています。
接続口は、基本的に二つです。横についていたり、縦についていたり、潜望鏡の様についていたりします。
以上が、見た目の「基本編」です。次は、見た目の「応用編」に参ります。